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Live Wire [194] 13.8.19(月) Songs in The Bookshelf[本棚の音楽]#1 文化系のための“日本語”ラップ入門
Songs in The Bookshelf [本棚の音楽]#1 「文化系のための“日本語”ラップ入門」 『街のものがたり ―新世代ラッパーたちの証言―』をめぐって ネットという速報性に秀でた媒体の浸透により、紙媒体に求められるものが変わってきている状況のなか、近年では読み応えのある音楽書が出版される機会が増えているように見受けられます。 「音楽書」には当然ながら、そこで取り上げられる音楽が先行して存在します。また、音楽書にかぎらず一冊の本には必ずたくさんの本が関連して、ある種の星座のようなものを形作ります。 このイベントは、自身も音楽書を多く手がける編集者である大久保がそうした音楽書の新刊を取り上げて著者や編集者、識者たちとともに掘り下げるとともに、関連する本や音楽も合わせて読んでいくことで、音楽を言葉で語ることの意味、音楽にとって本とは何か、といったことを考えつつ、「音楽書」の面白さに迫っていきたいと思い、企画したものです。 第一回として、P-Vineよりele-king Booksのひとつとして刊行された『街のものがたり 新世代ラッパーたちの証言』(巻紗葉・著)を取り上げます。 いきなり大雑把な分類になるかもしれませんが、いわゆる文化系の音楽ファンにとって「日本語ラップ」というジャンルは、どう映っているのでしょう? 話題になるのはラッパー同士のいがみ合い(ビーフ)であり、暴力的なイマージが強い。ファッション面でも金の鎖を巻いて粋がっているジャージ姿のローカルマッチョ君達がすぐ連想されるーー総じて言うなら“「ヨーチェケラッチョ」的な、猿真似「DQN」ミュージック”という残念なイメージが強く、音楽としてのヒップホップ自体にも馴染めない人が多いのではないでしょうか? そんな中、USでのヒップホップ成立と社会的背景、白人社会での受容に至る歴史や文化形成といったコンテキストを対談形式で解説した『文化系のためのヒップホップ入門』( 2011:いりぐちアルテス刊 長谷川町蔵, 大和田俊之 )という本が話題になりました。ロックやポップ、ジャズなどのシーンではお馴染みの、文化系音楽本の典型的なスタイルで描かれた本ですが、“未成熟なストリートミュージック”として文化系音楽ファンが視野の外に置いてきたヒップホップを、文化歴史の両面からきちんと解説しており、非常に興味深い一冊となっています。 ただ、残念なことがひとつ。この本の話題はUSでのヒップホップ事情に終始しておし、残念ながら日本でのシーンはあまり視野に入っていなかったのです。 一方、今回取り上げる『街のものがたり』は、そうした一般の認識とは逆に、きわめて知的に「日本語ラップ」を成立させようとする和製ラッパーたちーー10年代以降に注目集めている若手ラッパーに宇多丸とMummy-Dというベテランを合わせた9組のラッパーたちの言葉と物語に焦点を絞って取り上げた野心的な本です。 一読して、これは「文化系のための“日本語”ラップ入門」となることを目論んだ本なのではないか、と感じました。 例えば、ページをめくるとこんな言葉が目に飛び込んできます。 「ヒップホップ特有の余裕感ってあるじゃないですか。"俺は何もしなくても焦らねえぜ"みたいな(笑)。それに対して、あえて逆のことを言ってみたんです。だって必死にがんばってるヤツはカッコいいじゃないですか」(AKLO) 自己顕示過剰社会であるアメリカとは対照的に、日本人が持つ勤勉さへの称賛の感覚。その“普遍性”を若いラッパーが選びとって、あえてヒップホップ音楽に載せていこうとする試み。ここにはいままでいたずらに「脱亜入欧」に流れてきたシーンに抗う、「和魂洋才」の感性が確実に流れています。 また帯に「3.11以降、若いラッパーたちは何を思い、何を感じたのか……。街のリアリティから生まれる力強いメッセージ」とあるように、あの東北大震災以降、潰え去った“終わりなき日常”の先に、ストリートミュージックの担い手である彼らが何を見、何を感じたか? もこの本の大きなテーマとなります。果たして、「オハナシ」に堕しない、リアルな街の声を、そして空気感を捉える才能は生まれつつあるのか? 『街物語」と題されたこの本の真価は、まさにそこで問われることになるのかもしれません。 著者は、会社勤めの関係上、匿名であり、これまで音楽ライターとして活動をしてきた人ではありません。この謎に包まれた著者を迎え、LiveWireでは「ガイブン酒場」のスピーカーとしてもお馴染みであり、ヒップホップへの造詣も深い矢野利裕さんと、そしてクラブ・ミュージックに造詣の深い三田格さんを聞き手に、日本語ラップの最前線=「街」の空気感を感じるイベントにしたいと思います。(また他にも今年は日本語ラップを含めたヒップホップに関する面白い本が色々と刊行されていますので、合わせて紹介する予定です。) 本編でたっぷり引用されたリリックの数々の具体的な分析や、スタイリッシュな撮りおろし写真(&アウトテイク?)なども交え、様々な角度から、この本の魅力を浮き彫りにしていきます。『日本語ラップ』を愛するコアなファンはもちろん、『音楽を読み解く』という知的作業に興味がある文系リスナーの方々にも是非お越しいただければ、と思っています。(大久保潤/編集者) [出演] 巻紗葉、矢野利裕、三田格、大久保潤 [日時] 2013年8月19日(月) 開場・19:00 開始・19:30 [会場] Live Wire Biri-Biri酒場 新宿 東京都新宿区新宿5丁目11-23 八千代ビル2F (Googleマップ) ・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6〜8出口から徒歩5分 ・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分 ・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分 [料金] 1500円 (当日券500円up) (前売り終了しました。当日券あります) ※終演後に出演者を交えてのフリーフード&フリードリンクの懇親会を開催します。参加費は2800円です(当日参加は3000円)。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。 ※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円(2ドリンク)をお買い上げください。 ※領収書をご希望の方は、オプションの「領収書」の項目を「発行する」に変更してお申し込みください。当日会場で発行いたします。 ※ご注文者には整理番号をメールでご連絡します。 お申し込み時に住所をご記入いただきますが、チケットの送付はいたしません。 当日会場受付にて、名前、電話番号、整理番号をお伝えいただければ入場できます。 ※満席の場合は、立ち見をお願いいたします。 ※お支払い後のキャンセルは一切受け付けませんのでご注意ください。 ※銀行振り込み決済の締め切りは8/17(金)午後3時、カード決済の締め切りは当日午前0時です。 イベントのコンセプトなど詳細はLive Wire公式HPをチェック! 最新情報はTwitterで @golivewirecom お知らせ
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