ミステリ羅針盤＃4　「After3.11、ネオ社会派ミステリの可能性〜イヤミス、サイコを越えて時代と人を見据えるために」
　
ミステリの新しい読みの可能性を様々な角度から探っていく「ミステリ羅針盤」シリーズ。
第四回のテーマは、1950年代の戦後復旧期から1970年代の高度経済成長期にかけて、国産ミステリの大きな潮流となった「社会派」に焦点をあてます。当時、松本清張の「点と線」や水上勉の「飢餓海峡」など、戦後日本の変転する社会状況をヴィヴィッドに反映して書かれたリアルな推理小説がベストセラーとなり、それまで好事家のためのジャンルであった「探偵小説」は「推理小説」として一般社会の読み物として広く普及するに至りました。しかし70年代後半、高度経済成長期が終わった辺りから、娯楽派ミステリの巻き返しが始まり、「新本格」や「サイコホラー」といったサブジャンルの流行の波に飲まれる形で、いつしか「社会派」の水脈は姿を消していきました。

新自由主義の台頭とともに格差社会が露呈し、3.11という未曾有の災害に襲われた21世紀、再び日本の社会構造が問われ直しはじめています。松本清張作品のリバイバルとともに、この時代に則した新しい形の「社会派」ミステリが切望され、実際に胎動し始めているのではないかというのが、今回のイベントのテーマとなります。

一人目の語り手としてお迎えするのは、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作『ロスト・ケア』で老人介護の暗部に、そして最新作『絶叫』で貧困、無縁社会などの諸問題に取り組んだ作家、葉真中顕さん。「ロスジェネ」と呼ばれる世代に属する個人が、不安定な社会のシステムに飲み込まれ、流されていく姿を克明に描こうとする姿勢が注目されています。「いま、ここ」で起きているリアルな不安を写し取るミステリ、という意味で葉真中作品は新たな「社会派」の試みと呼べるでしょう。それは00年代以降に隆盛したリアル志向のサブジャンル――警察小説、“イヤミス”などども違う方向性を持って、現実に対峙する小説を目指しているようにも思えます。葉真中作品の指向性は、旧来の「社会派推理小説」に連なるものとして、現代ミステリ界にどういう位置を占めうるのか、またどういう道を切り開こうとしているのかを、実作者の立場からお伺いしてみようと思います。

また、「3.11以後の松本清張」や「人と社会の「秘密」にとどくミステリー　松本清張と宮部みゆきを読む」など、社会派ミステリのメソッドの現代性を問う論を展開する早稲田大学教授・高橋敏夫氏を迎え、「清張以降の社会派」ミステリの系譜を探りながら、新たな「社会と向き合うミステリ」とは何かをじっくり掘り下げてみたいと思います。

　
[出演]　若林踏（書評家）
　
[ゲスト]　葉真中顕（作家、「ロストケア」「絶叫」）、高橋敏夫（早稲田大学教授）


[日時]　2014年12月14日（日）　開場・19:00　開始・19:30　（約2時間を予定）

[会場]　Cafe Live Wire　（Biri-Biri酒場 改め）
　　　　　東京都新宿区新宿5丁目11-23　八千代ビル2F　（Googleマップ）
　　　　・都営新宿線「新宿3丁目」駅 C6〜8出口から徒歩5分
　　　　・丸ノ内線・副都心線「新宿3丁目」駅 B2出口から徒歩8分
　　　　・JR線「新宿」駅 東口から徒歩12分
　
[料金]　1500円　（当日券500円up）（前売り終了しました。当日券あります）

※終演後に出演者を交えてのフリーフード＆フリードリンクの懇親会を開催します（23:30終了予定）。参加費は3000円です（当日参加は3500円）。懇親会参加者には、入場時にウェルカムの1ドリンクをプレゼント。参加希望の方はオプションの「懇親会」の項目を「参加する」に変更してお申し込みください。参加費も一緒にお支払いただきます。
※懇親会に参加されない方は、当日別途ドリンクチャージ1000円（2ドリンク）をお買い上げください。
※領収書をご希望の方は、オプションの「領収書」の項目を「発行する」に変更してお申し込みください。当日会場で発行いたします。
　
※ご注文者には整理番号をメールでご連絡します。
　お申し込み時に住所をご記入いただきますが、チケットの送付はいたしません。
　当日会場受付にて、名前、電話番号、整理番号をお伝えいただければ入場できます。
　
※満席の場合は、立ち見をお願いいたします。
　
※お支払い後のキャンセルは一切受け付けませんのでご注意ください。
　
※銀行振り込み決済の締め切りは12/12(金)午後3時、カード決済の締め切りは当日午前0時です。
　

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